2007年12月22日土曜日

さいばん・どっち♪

あおちゃんとやよいちゃんはだいのなかよし。どれくらいなかよしかって・・・いつも、どんなにちいさなことでも、おかあさんにもいってないことでも、ふたりでおはなししています。だから、ふたりはおたがいのだいすきなものや、とってもたいせつなものが、ちゃんとわかるんです。そのひは、ようちえんのバスえんそくでした。かえりのバスのなかで、ほかのおともだちはつかれてぐっすりねむっているというのに、ふたりはならんでしんけんにおはなししています・・・。

やよい(おいのりのてで) 「ジランちゃんのさいばん、どうかかちますように。かちますように・・・。」
あお 「え、やよいちゃん、ジランちゃんのさいばんのこと、おうえんしてくれてるの?」
やよい 「うん、そうだよ。おかあさんいってたよ。きょう、さいばんなんでしょ。」
あお 「うん。わたしのおかあさん、おうえんにいったんだ。」
やよい 「わたしね、まだジランちゃんとおはなししたことないけど、ジランちゃんはあおちゃんのたいせつなおともだちでしょ。だからぜったいに、さいばんかつようにっておうえんしてるんだ。」
あお 「ありがとう。わたしも、ジランちゃんが、おとうさんとおかあさんといっしょに、ずっとにほんにいら れるようになってほしいんだ。」
やよい 「じゃあ、いっしょにかみさまにおいのりしよっか。」
あお 「うん、しよう!」
ふたり(おいのりのてで) 「ジランちゃんのさいばん、どうかかちますように。かちますように・・・!」
せんせい 「あおちゃんとやよいちゃん!もうみ~んな、つかれてねむってるのよ。もうすこししずかに  してくれる?」
ふたり 「は~い・・・。」
やよい 「しかたない、ねるか。」
あお 「うん、しかたない、ねるか。」

おしゃべりをやめるとまもなく、やよいちゃんのあたまがあおちゃんのあたまにごっつんこ。ふたりはあたまをくっつけたまま、なかよくねむりました。

そして・・・。

あお 「おかあさん、ただいま!」
おかあさん 「おかえり、あおちゃん。えんそく、たのしかった?」
あお 「うん、すっごく。ねえねえ、おかあさん、ジランちゃんのさいばん、かったの?まけたの?」
おかあさん 「え?さいばん、かった、まけた?・・・ああ、そうね。さいばんはね、あいこだったのよ。」
あお 「え?さいばんにもあいこ、あるの?」
おかあさん 「そうよ。おかあさんも、みんなもびっくりしたんだけどね、さいばんちょうが、『ジランちゃん たちがにほんにいられるように、いいほうほうをみつけられるように、よおくはなしあってみてごらん』っ ていったのよ。」
あお 「じゃあ、ジランちゃんまけなかったんだね。」
おかあさん 「そう。まけなかった。なかよくあいこだったのよ。」
あお 「よかったあ!あした、やよいちゃんにおしえてあげるんだ!」
おかあさん 「え?やよいちゃんに?おしえてあげるの?」
あお 「うん、そうだよ。だってね、やよいちゃんがね、きょうね、・・・。」

2007年12月20日木曜日

東京入管への上申書提出

 昨日の12月19日午後、弁護団は先の公判における寺田裁判長の「暫定的な解決策の可能性も含めて両者で話し合ったらどうか」という勧告に則り、品川の東京入国管理局に上申書を提出しました。内容は、一家ばらばらの国外退去命令を一刻も早く取り消して、在留特別許可を一家に与えるよう、改めて求めたものでした。ジランちゃん一家が地域社会に深くとけ込んでいること、15000筆あまりの署名支援をうけていること、命令発令時から現在までの状況に変化があること等が併せて盛り込まれました。
 曇り空で昼過ぎになっても気温が上がらず冷たい海風も吹く中を、予定の時刻よりずっと前から正面前で横断幕を掲げて支持を訴えるジランちゃん一家や支援者たちの周りには、既にマスコミ数社(NHK国際部、日テレ、TBS等)が詰め寄せていました。取材陣は、ジランちゃんの思いや表情を捉えようとずっとカメラを回し、マイクを向けてインタビューを試みていましたが、取り囲まれた異様な雰囲気の中、4年前突然に両親と引き離され心に深い傷を負ったこの場所で、ジランちゃんは文字通り凍りついたように顔も体もこわばらせていました。
 予定の午後1時30分、一家と弁護団ならびに支援者は取材陣を後に入館し、6階の申請所へと向かいましたが、ここで予想もしなかったことが待っていました。受付で大橋弁護士が担当の主席審査官への面会を求めると、なんと対応した女性職員から同氏が休みであること、さらに上申書提出の件については申し送りもないことを告げられたのです。事前にアポをとって来ているというのに、出直しさせられたのでは堪りません。更に大橋弁護士が説明をして、やっと確認してもらえることになったのですが、こんな書類提出というきわめて事務的なことさえスムーズに事が運ばないこと自体が、日本の入国管理行政の実態を象徴していると憤慨させられました。
 そんなわけでしばらく待合所に待たされることになった私たちでしたが、ガラスで囲まれた遊具コーナーで一人疲れきったように眠っている少女を眺めながら、ジランちゃんはぼそりと「私も前はここでよく遊んだんだ。」と教えてくれました。そのすぐそばの大きな窓からは、ビルとビルの間から寒々とした品川埠頭の人工的な景色が見え、それがまるでここで待つ子どもたちの心象風景にも思えてきて、とても切なくなりました。いたいけな子どもたちが、たとえどんな理由があろうとも決して放り出されることのない、人の温もりの中で安心して暮らしていける国を私たちは絶対に作っていかなければならないと、このとき改めて思いました。
 本省と連絡を取ったらしく、20分ほどして書類は受理され、やっとこの日の目的は達成されたのですが、なんとも言えない後味の悪さを覚えました。この巨大な「国」という壁に、私たちはいかに挑んでいけばいいのでしょうか。ここ数日ずっと報道されている薬害肝炎訴訟での被害者全面救済の要望に対する政府の冷たい対応は、私たちの相手がいかなる存在か如実に示しています。だからこそ、私たちはいま原点に返って、ジランちゃん一家の幸福と平和のために、手と手を携え声を合わせて訴え続けていきたいと思います。このクリスマスの季節、私たちの声がきっと天にも届くようにと祈りながら。
★TBSニュースで報道された現場の模様は、姉妹ブログ「ジランちゃんが家族と安心して日本で暮らせるように」にて、TBSサイトでご覧いただけます!